2005年08月18日

仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告

8月17日の裁判所の決定に対して、8月18日、債権者は即時抗告の申立てを行ないました。
仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告申立書.doc
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債権者準備書面 (7)

平成17年(ヨ)第9号、同10号 遺伝子組換え稲の作付け禁止等仮処分事件     
原  告  山 田   稔 ほか12名
被  告  (独) 農業・生物系特定産業技術研究機構

債権者準備書面 (7)

2005年8月10日


 新潟地方裁判所高田支部 民事部 御中

債権者ら訴訟代理人 弁護士  神山 美智子

同       弁護士  柏木 利博

同       弁護士  光前 幸一

同       弁護士  近藤 卓史

同       弁護士  馬場 秀幸

同       弁護士  柳原 敏夫


目 次

第1、はじめに 2頁
第2、交雑防止措置の不完全                     3頁
第3、本野外実験の無意味性                     6頁
第4、ディフェンシン耐性菌出現の危険性と流失の危険性について  9頁
第5、室内実験の問題点未解決の違法性について            12頁
第6、野外実験の条件の変更の違法性                 13頁


  債権者らは、債務者の準備書面(3)について以下のとおり反論する。
第1、はじめに
本裁判の締めくくりの書面として、最初に確認しておきたいことがある。それは法律の基本原理についてである。今では古典的な原理に属することだが、かつて、民法学者の平井宜雄は、法律で問題になる因果関係とは、@事実的な因果関係と、A法的な因果関係の2つの領域にまたがる問題であり、それは、事実判断としての因果関係を踏まえた上で、最終的には法的な判断として得られるものであることを明らかにした(平井宜雄「損害賠償法の理論」(1971年))。ここで重要なことは、これは、ひとり因果関係に限らず、実は、すべての法律の概念に当てはまるということである。この原理は、とりわけ、本裁判のように、「GM作物の野外実験の危険性」といった現代の最先端の科学的知見をもってしても、危険性の判断になお「不確実性」が残る裁判において重要である。なぜなら、この裁判で求められている「危険性の判断」とは、あくまでも事実判断としての危険性を踏まえた上で、最終的には裁判官の法的な判断として導かれるものだからである。そして、法的な判断として「GM作物の危険性」を導き出す際の原理となるものは何か――言うまでもなく、それは「予防原則」である。

第2 交雑防止措置の不完全
1 債務者は答弁書において、GMイネ花粉の一般イネとの交雑防止措置として、@GMイネと近隣イネとの離隔(債務者圃場内のイネとは28メートル、一般農家とは220メートル)、A開花時期の相違(GMイネの開花は8月20日から9月3日であるのに対し、周辺の一般イネは8月1日から15日で、5日間の間隔を設定)、BGMイネが開花する前の袋カケによる花粉の飛散防止により、交雑の余地ないしおそれは一切存在しないと主張していた(10頁)。

2 しかし、債務者が主張する交雑防止手段としての離間距離は、限られた5つの検出例から推計されたものにすぎない(疎甲26)。風媒による花粉の飛散距離が、風や上昇気流といった自然条件により大きく変化することは再三指摘してきたとおりであり(とくに、疎甲30の生井教授の論考を参照されたい)、220メートル程度の離間距離で交雑を完全に防止できるなどという主張は、およそ非科学的なものである。

3 また、債務者は準備書面(2)で、GMイネと周辺イネの開花予測時期を、GMイネについては8月21日から9月3日頃、周辺イネについては8月7日から8月20日頃と変更した結果、開花時期の相違は1日だけとなった。
しかも、債務者の担当者が審尋の席で述べているとおり、個々のイネには開花時期に個体差があるから、上記の期間を超えて開花するイネも当然に発生するはずである。
したがって、開花時期に相違をもうけて交雑を防止するという債務者の意図は、既に実効性を失っている。

4 したがって、残された交雑防止措置は、人間の手作業による開花前の袋カケということになるが、債務者は準備書面(2)で、袋カケの方法について、@イネを単体(全部で750株あるとのこと)ごとにパラフィン紙で覆い、Aイネの下部はさらにビニールシートで被い、Bさらに圃場全体を不織布で覆うとのことであり、8月3日の審尋の席での説明によれば、このような交雑防止措置は、開花の数日前から開花終了後の数日まで実施するとのことであるから、その期間は通算20日前後に及ぶこととなる。

5 しかし、このような交雑防止措置を施せば、開花期間中のイネの生育状況を観察するには、毎日、職員が不織布の囲い内に入り、イネの単体750株に被されたビニールシートとパラフィン紙を取り除き、観察後にまたこれを被せるという膨大な作業が必要となり、その作業過程や作業後の管理状況いかんにより、花粉が飛散する恐れは極めて高くなる。
そこで、債務者は、準備書面(3)で、イネは晴天の日には午前10時前後に開花を始めて昼12時までに開花は終了する、イネ花粉は開花後5分で交雑能力を失い、午後に交雑能力を完全に喪失した状態になっていることは科学的に明らかとして、午後3時以降に、不織布の覆い内に入り、花粉の成育状況を確認するとのことである(債務者の書面には、パラフィン紙やビニールシートを取って確認することが明記されていないが、これらを取らなければ、観察は不能であることは疎甲85の天明氏の陳述書(2)に記載されたとおりである)。また、不織布の覆いの出入り口には、予備空間を設けて万が一にも花粉が外に漏れないようにするとのことでもある。

6 しかし、疎甲85の天明氏の陳述書(2)に引用されているとおり、育種学を専門とする東京大学名誉教授松尾孝嶺氏の著書「改訂増補 育種学」やその原典となった野口・浜田共著の「水稲の柱頭及び花粉の受精能力に就いて」によれば、イネ花粉の生存限界時間は50時間とされているのであって、イネの交雑能力がその日の午後に完全に失われることが科学的に証明されているような事実は全くない。また、狭い空間に、750株ものGMイネが栽培され、その中で、イネの生育状況についての膨大な観察作業が実施されることを考えれば、その過程で、花粉が外部に飛散する可能性を否定することのほうがむしろ非現実的であろう。
結局、交雑を完全に防止するには、少なくとも、開花期間中とその前後の通算約20日間にわたり、イネを密封状態におかざるをえず、その間、イネの観察は全く不能となる。
本野外実験では、目的とするGMイネの生育状況の観察を実行しようとすれば、周辺イネとの交雑の可能性を招来させ、完全な交雑防止措置を考えれば、実験目的を放棄せざるをえないものなのである。

7 また、そもそも、債務者が設置しようとする不織布の囲いは、不織布が薄くて穴があきやすい材質なため、強い風雨で小さな穴があくおそれがあり、提出されたイメージ写真なるもの(乙疎104号証)を見る限り(依然、FAX提出しかないため、極めて不鮮明ではあるが)、温室栽培用のビニールハウス程度の規模、強度のものであり、台風や突風などの自然災害や、ネズミやウサギなどの野生動物からの攻撃にどれだけ耐えられるかも疑問なもので、この程度の設備で交雑防止に万全を備えていると主張されても、常時、気まぐれなで容赦のない自然現象と悪戦苦闘している周辺農家にとってみれば、到底、納得できるものではない。

第3 本野外実験の無意味性
1 債務者は答弁書4頁において、本野外実験の目的は、隔離圃場条件下で、対病性評価、生育評価、生物多様性評価及び採種を行うことにあると主張していた。
   また、準備書面(2)では、本実験の目的を、隔離温室で耐病性が確認された本GMイネが、@野外条件で栽培しても正常に生育するか、実用的な病害抵抗性があるかの検証、A今後の研究のための試験用種子の生産、B圃場条件下で生育した場合に水田の土壌微生物への影響及び土壌を介した他の生物への影響調査にあると、やや具体的に主張してきた。

 2 ところで、債務者が、本野外実験において取ろうとしている交雑防止措置は、イネの生育にとっては極めて過酷なもので、屋外圃場における一般のイネ栽培とは全く異なる環境のため、野外実験としての価値をほとんど失わせている。しかも、上記のとおり、開花時期のイネの生育状況の観察は極めて限定されたものとならざるをえず、十分な観察資料の収集は望めない。
債務者は準備書面(3)で、「本件実験では、・・・確かに日中の一時期に本件構築物内部が高温になることは否めない。この結果、経験則上、花粉不稔率がある程度上昇して種子稔性が低下する可能性はあるものの、温度上昇によりイネ本体が枯れることはありえない」と述べ、本実験が一般圃場での栽培条件と異なる環境となることを認めるものの、その異なる程度については、「経験則上、花粉不稔率がある程度上昇して種子稔性が低下する可能性はあるものの」と、およそ科学者集団とは思えない漠とした見通しを立てている。そして、周辺のスプリンクラー使用による温度調節によって構築物内の温度を低下させることにより、「本件圃場が高温になることがありうるとしても、白葉枯病の発病評価や関連するもみ数、穂数、草丈等のデーター収集に対する影響は回避できるし、本実験の目的は十分に果たしうる」と強弁している。
しかし、債権者らの疑念は、周辺農民や消費者に交雑の危険や不安を及ぼしながら、パラフィン紙とビニールシートで固体を覆われ、さらに不織布で圃場を囲われた不自然、不健全な環境下にあるイネについて、白葉枯病の発病評価や関連するもみ数、穂数、草丈等のデーターを、わざわざ野外実験で収集しようとする債務者の真意である。しかも、後記のとおり、本実験は、重大な副作用というべきディフェンシン耐性菌の発生・流失が危惧されるのである。民間の研究機関であれば、ここまで不高率で、周辺住民の感情を無視したな実験はおよそ思いつかない。

3 ところが、債務者は、この指摘に対して「実験目的が達成されないおそれについては本来債務者固有の利害に関する事項であり、債務者が考慮すれば足りる」ことを「念のため付言する」としている。
  しかし、差し止め裁判に限らず、民事紛争の解決基準が、当事者間の利益秤量にあることは、星野学説をまつまでもなく、法律家の共通理解のはずである。とりわけ、差し止め請求における受任限度論は、いわゆる社会契約説を前提に、この利益秤量論を定式化したものであろう。
本野外実験の差し止めの可否は、実験の有用性・必要性と本実験により発生する虞れのある被害の程度を秤にかけ、前者の利益のためには後者の危険は耐え忍ぶべきと国家(裁判所)が冷徹に判断したとき、始めて許されるものである。本実験の目的の達成見通しが危うければ、それはすなわち、本実験の有用性・必要性が乏しいということなのであり、裁判所の秤量判断に重大な影響を与えることとなるのである。

4 本野外実験は、河田昌東氏や金川貴博氏の陳述書(疎甲19、80、81、91)にあるとおり、イネに挿入されるディフェンシンの作用機作や耐性菌問題についての基礎的研究が不十分なまま、交雑防止の手段の十分に施されず、しかも、肝心の実験目的を達成する見込みさえ、極めて乏しいというものである。
差し止め請求における旧来の利益考量論にしたがったとしても、本野外実験はすみやかに中止されなければならない。

第4、ディフェンシン耐性菌出現の危険性と流失の危険性について
1、冒頭の「1、はじめに」で明らかにした通り、まず、この危険性について事実判断を検討する。 
 本裁判で、債権者は、当初から一貫して、
(1)、本野外実験により、ディフェンシンの耐性菌が容易に出現する可能性があり、
(2)、出現した耐性菌の耐性機構いかんによっては、人類および動植物の防御機構に重大な影響を及ぼす可能性があり、
(3)、にもかかわらず、債務者は、本野外実験の準備段階から今日まで、この問題を全く認識しておらず、出現した耐性菌が容易に外部に流失・伝播する危険性がある
という「本野外実験の看過できない最も重要な問題」を主張・立証してきた(申立書18頁。準備書面(2)11頁以下。同(5)4頁以下。同(6)3頁以下)。
2、これに対し、債務者は、
前記(1)と(2)を否定した(答弁書12頁・準備書面(3)5頁)。
3、しかし、前記(1)について、研究者の金川貴博氏(疎甲19、80、91)、河田昌東氏(疎甲81)らが指摘する通り、
ア. 実験室で、突然変異を誘発する薬など何も使わないで、ディフェンシン耐性菌が作られたことは既に複数報告済みであり、この事実は、債務者の職員川田元滋氏らが書いた論文(疎甲23)中に紹介されている報告例に書いてある(疎甲91。金川陳述書(3)1〜3頁)。
イ. これらの報告から、微生物が増殖できる条件下で、ディフェンシンと微生物を頻繁に接触させると、容易に耐性菌を作り出すことができることが推定できる(金川陳述書(3)3頁以下)。
ウ. ところで、本野外実験のカラシナ由来のディフェンシン導入イネでは、必要に応じて生産される自然界のディフェンシンとは異なり、いもち病などの病原菌のあるなしにかかわらず常時ディフェンシン遺伝子が発現して、ディフェンシンを常時多量に作り続けるように加工されている(疎甲80。2頁18行目以下。同81。4頁6行目以下)。
エ. したがって、微生物が活発に増殖する本野外実験の圃場において、ディフェンシンを常時多量に作り続ける結果、ディフェンシンと微生物を頻繁に接触させることになり、耐性菌が出現する可能性が高い(疎甲80。2頁下から5行目以下)。
4、次に、前記(2)について、前記金川氏、河田氏のみならず、この問題の重大性を憂いる全国の研究者からも次のように指摘されている(疎甲86〜90。92)。
 抗生物質耐性菌が大きな社会問題となりつつあるように、ディフェンシン耐性菌もまた、地球上に広く蔓延し、これまでの病原菌の病原性を飛躍的に高めた細菌が人類及び動植物に深刻な危害をもたらす危険性がある。
5、債務者の反論
これに対する債務者及びこれを支持する研究者の反論は、煎じ詰めれば、次のように要約することができる――過去の事例・経験から、これまで、ディフェンシン耐性菌が出現した報告はなく、出現したとしても、ヒトや土壌微生物に悪影響を及ぼした事態は起きていない。従って、ディフェンシン耐性菌は出現しないし、仮に出現したとしてもその危険性はない、と(準備書面(3)5頁。疎乙106の高木報告書2頁以下)。
しかし、これは科学的な認識として根本的にまちがっている。なぜなら、これまでディフェンシンは通常は病原菌に感染したときにだけ生産され、したがって、微生物がディフェンシンと頻繁に接触することはなかったのに対し、本野外実験のカラシナ由来のディフェンシン導入イネは、病原菌のあるなしにかかわらず常時ディフェンシン遺伝子が発現して、ディフェンシンを常時多量に作り続けるように加工されているため、微生物がディフェンシンと頻繁に接触するという状況を新たに作り出すものである。このために、これまでと全く異なる新しい条件・状況で耐性菌の出現の問題を考える必要があり、したがって、過去の事例・経験をそのまま参照することはできないからである。
結局のところ、債務者の反論によっても、「ディフェンシン耐性菌は出現しない」という結論も、また「仮に出現したとしてもその危険性はない」という結論も科学的に導き出すことはできない。むしろ、実験室でディフェンシン耐性菌が作られた複数の報告例から科学的に推定されることは、本野外実験の圃場において、ディフェンシン耐性菌が容易に出現するであろうということである(疎甲80。2頁下から5行目以下)。
以上が、ディフェンシン耐性菌出現の危険性に対する事実判断である。
6、ディフェンシン耐性菌出現の危険性の法的判断
そこで、次に、ディフェンシン耐性菌出現の危険性に対する法的判断を検討する。
「GM作物の危険性」を判断する際の原理となるものは、言うまでもなく、カルタヘナ議定書第1条に明記され、確立した「予防原則」である。そして、この「予防原則」の基本要素として、
《未然防止、科学的不確実性への対応、高水準の保全目標、環境の観点の重視、将来への配慮、危険可能性への配慮、‥‥》(阿部泰隆外「環境法」(第三版)132頁下から10行目以下。疎甲42の3)
が挙げられる。
そこで、これらの「未然防止、科学的不確実性への対応、高水準の保全目標、環境の観点の重視、将来への配慮、危険可能性への配慮」という基準を、上記の「ディフェンシン耐性菌出現の危険性に対する事実判断」に当てはめたとき、本野外実験の続行を肯定するに足りるだけの法的な根拠はもはやどこにも見出せないことが明らかである。
以上が、ディフェンシン耐性菌出現の危険性に対する法的判断の帰結である。

以上の諸点により、既に本野外実験の違法性は明らかであり、その差止に必要な主張・立証は十分であると考えるが、GM作物の野外実験の安全性の基本原則に関わる問題として、なお、以下の2つの主張を明らかにしておきたい。

第5、室内実験の問題点未解決の違法性について
債権者は、本野外実験の第1の問題点として、
そもそも室内実験において、以下の本GMイネの安全性・問題点を十分に詰め、解決していない現段階で、野外実験に移行するのは時期尚早であり、その危険性の点から許されないと主張してきた(準備書面(5)4頁以下)。
(1)、ディフェンシンの作用機構(人体へ害作用がないかなど)が依然、未解明であること(準備書面(2)9〜10頁)
(2)、「ディフェンシンが食用部分には絶対に移行しない」かどうか、依然、未解明であること(同10〜11頁)
(3)、ディフェンシンに対する耐性菌が出現した報告が出たこと(同11〜13頁)
この主張がなぜ第一に重要かというと、それは、これがGM作物の野外実験の安全性をどう捉えるかという根幹に関わる問題だからである。
前述した通り、予防原則の基本要素として、「高水準の保全目標、環境の観点の重視」があり、これを本野外実験に即して具体的に言えば、「実験結果のみならず、実験過程(プロセス)にも着目して、その安全性確保に努めるべきである」ことが導かれる(憲法の適正手続の保障と同様の精神にほかならない)。
 つまり、そもそも危険性の問題は、あらかじめ厳重な室内実験でクリアしておくべきで、それが片付いてから初めて、未知な事態を避けられない野外実験を移行することが許されるというのが、予防原則の具体化である「適正手続の保障」の意味である。
それゆえ、この予防原則に従えば、野外実験の結果にだけ着目して、結果さえ安全であれば実験過程(プロセス)の安全性は考慮に入れなくもよいことにはならず、実験過程に前述の重大な瑕疵がある本野外実験はこの見地からも違法と言うべきであり、差止を免れない。

第6、野外実験の条件の変更の違法性
債務者は、本年8月3日の審尋期日の席上、債務者準備書面(2)の別紙6の出穂予測の記載について、本野外実験の圃場のGMイネと周辺農家の一般イネとの開花期間のズレが1日しかないことを認めた(別紙6の3行目GMイネの出穂期「8月24日」から、その開花期間は8月21日から9月3日であり、同3行目の周辺農家の出穂期「8月10日」から、その開花期間は8月7日から8月20日であると認めた)。
しかも、これはもちろん一般論として述べたもので、周辺農家の個別の確認を取ったわけでもなく、当然、その例外は発生する。つまり、実際上、本GMイネと周辺農家の一般イネとの開花期間が重なることが起き得る。よって、債務者が交雑防止措置のひとつとして掲げた「時間的間隔」(準備書面(2)2頁末行以下)は実効性がなくなったと言わなければならない。
よって、債務者の本野外実験の安全性確保のための措置が1つでも実効性を失った以上、本野外実験の適法性を基礎付ける重要な要素が欠けたというべきであり、ただちに、本野外実験は中止すべきである。
これに対し、債務者は、次のように反論する。
《これらはそれぞれが、独立の交雑防止手段として完全かつ有意なものとして存在し、債務者としては、安全対策に完全性を期すために重畳的にこれらの手段を採用している》(準備書面(3)2頁下から6行目)
しかし、そもそも、これらの個別の措置が到底「独立の交雑防止手段として完全かつ有意なもの」であり得ないことは債権者が既に証明したことであるが(準備書面(2)4頁以下。同(5)6頁以下)、それに加えて、ここでは、債務者に、予防原則にのっとった安全性の観念というものが全くないことを指摘しておきたい。
前述の通り、予防原則の基本要素として「高水準の保全目標」というものがあり、その具体的な内容として、たとえ「独立の安全確保手段として完全かつ有意なもの」だとしても、それらは1つ1つ確実に遵守されるべきものであり、したがって、その1つでも遵守されない場合には、安全性確保義務違反として予防原則に違反する、というべきである。こんなことは、安全性が日常的に問われる現場のコモン・センスである(それは、8月7日付「『空の安全』不信再び」という日経新聞の記事で、「どんな小さなミスでも、1つ1つつぶしていく。それで20年間を墜落事故ゼロでやってこれた。大したことはない、と片付けるのは危機意識が薄れているのではないか」という国土交通省幹部の指摘からも明らかである。疎甲93)。
それゆえ、債務者が自ら交雑防止措置のひとつとして掲げた「時間的間隔」が実効性を失った以上、この点からしても、本野外実験は中止を免れない。

以上
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2005年08月05日

債権者準備書面(6)

平成17年(ヨ)第9号
債権者 山田  稔他11名
債務者 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構

債権者準備書面(6)


平成17年8月3日
  新潟地方裁判所高田支部 御中

債権者代理人  神山 美智子他5名



  債権者らは,債務者の準備書面(2)について反論するとともに,被保全権利に関する主張を,以下のとおり補充する。

第1 人格権に基づく差し止め
1 申立書及び債権者準備書面(5)で述べているとおり,債権者らは債務者に対し,人格権に基づき,債務者らの試験栽培の中止を求めている。
消費者としては,わが国の主食たるコメについて,食品安全性の審査を経ていない遺伝子組み換えイネが在来種と交雑したり,あらたなディフェンシン耐性菌が出現・流出することにより,これを知らずに食することによる将来の身体・生命への危険発生への不安,生産者にとっては,交雑した遺伝子組み換えイネの伝播により,在来種のコメを栽培できなくなることによる生活不安・生産意欲の減退が,さらには、人類や生物が持っている防御機構を打ち破るディフェンシン耐性菌の出現・流出により、人類その他の動植物に及ぼす重大かつ深刻な影響により、債権者らの人格的権利(幸福追求権)を侵害するものだからである。

2 近時,人格権に基づく差し止め請求事件をめぐっては,生存の基礎となる水(生活用水や農業用水)が汚染されることによる生命・身体への危険の程度が,一般通常人を基準として,平穏な生活を侵害していると評価される場合には,侵害が公益的行為によるものであっても,その差し止めを認める裁判例が頻出している(仙台地決平成4年2月28日<判時1429−109>,熊本地決平成7年10月31日(判タ903−241>,福岡地裁田川支決平成10年3月26日<判時1662−131>,鹿児島地決平成12年3月31日<判タ1044−252>,前橋地決平成13年10月23日<判時1787−131>,名古屋地裁平成15年6月25日<判例時報1852−90>等)。
  当然のことながら,各裁判例においては,関係機関から適法に許認可を受けた公益施設の必要性の程度と,施設が建設されることによる危険発生(不安の程度,事後的回復の可能性)を考量し,差し止めの可否を判断している。

3 本件においても,裁判所は,わが国の主食たるコメに遺伝子組み換え技術を応用することによる生命・身体への危険性の発生の程度と,本件試験栽培の必要性,有用性を慎重に考量し,差し止めの可否を判断することとなろう。
  しかし,本件で留意しなければならないことは,債権者らが主張する危険は,新たな科学技術の開発にともなう未知なる危険・不安であるから,在来型の旧知の危険の発生可能性に対する差し止めと同様の枠組みで,危険発生について高度の疎明を求め,これを前提に本試験栽培の可否を判断するならば,科学技術の安全性を軽視した開発優先,産業優先に陥り,これまでと同様の失敗を繰り返すだけになるということである。

4 効率性,利便性を求める技術開発は,旧来の生態系の秩序や調和を乱すことにより得られるものであるから,意図した撹乱により意想外に発生する反発を慎重に予測する必要があるし,それ以上に,そのような危険を冒してまで獲得しようとしているものそれ自体の価値について冷静な分析が求められる。
  かつて,「奇跡の材料」ともてはやされた石綿は,その奇跡が,国民の健康に負の反発をもたらしていたにもかかわらず,産業優先思考の結果としてこれが放置され,現在,回復不可能な損害状態を周辺住民に強いていることは,マスコミ報道のとおりである。

第2 債務者の主張の問題点
1 しかるところ,債務者は,準備書面(2)においても,債権者らが準備書面(5)の第2、事実関係の整理の3、第1の問題点(4頁以下)で、具体的に指摘する本野外実験が室内実験から野外実験に移行するために本来解決しておかなければならない重要な安全性・問題点について1つも反論をしないまま,イネの交雑は「理論的可能性自体」がなく,しかも本実験では,3重の交雑防止措置が取られていると主張し,債権者らの指摘する危険性は,「主観的不安」(根拠のない不安という趣旨か)にすぎず,債権者らの無理解による本申立は「非常に遺憾」とまで述べている。しかし、債権者らが上記問題点を裏付けるためにこの間提出した証拠は,すべて科学者及び農業従事者の意見に裏打ちされたものであり,債務者との見解の相違は,科学的真実の見極めた方の相違と考えている。これを主観的不安とか無理解で片付けようとする債務者こそ,池内教授が指摘される科学者のヤバン性(疎甲24号証)に陥っているものと思わざるを得ない。

2 債務者が主張する交雑防止策については別途述べるし,防止策についての債務者の主張の変遷についても項を改めて論じるが,債権者らが本実験で危惧していることがらの重要なものの一つに,「ディフェンシン耐性菌」の問題がある(債権者準備書面(2)の11頁以下,同(5)の4頁以下)。
債権者らは,債務者の職員が執筆した疎甲23号証の論文に「ディフェンシンに対する耐性菌が出現した報告」がある事実を述べ,本野外実験においても、実験場の田の水の中にディフェンシン耐性菌が出現する可能性を指摘した(金川陳述書2〜4頁。疎甲19)。再度、この点を敷衍して述べれば、
GMイネは湛水して栽培するので、イネの茎から漏出したディフェンシンが水に溶けて、茎の傍ではディフェンシン濃度が高く、離れればディフェンシン濃度が低いという状況ができ、これはディフェンシン耐性菌の出現にとって好条件になる。疎甲23号証の論文では,ディフェンシンを入れて微生物を培養するだけで、ディフェンシン耐性菌が出たとされていることから,今回の実験でも、ディフェンシン耐性菌の出現は避けがたい筈である。
一般的に、抗菌剤について、いきなり高濃度の薬剤にさらすと、菌が死ぬ確率が高くなるが、抗菌剤の濃度が高いところから低いところまで勾配(濃度勾配)が生じておれば、低い濃度のところで生き残るものがいて、この中から濃度の高いところでも生き残るのが生じてくる可能性があり,その結果、耐性菌の出現の確率を高めることになる。したがって、今回の野外実験のように、圃場の水の中に、ディフェンシンの濃度勾配ができる場合には、耐性菌の出現を一層容易にするのである。
また,人が実験区域内に立ち入ると、P4の施設で無い限り実験区域内の微生物を靴やズボンなどに付けて持ち出すおそれもあり,それによって、ディフェンシン耐性菌が施設外に出て、その耐性遺伝子が外の細菌に受け渡される可能性も考えられる。
さらに、自然の大雨、洪水、台風などによっても、容易にディフェンシン耐性菌が本野外実験場外に流出する。
しかるに、債務者の主張を見る限り,このように出現し,本野外実験場外に伝播、流出する恐れの高いディフェンシン耐性菌に対する対策はゼロといっても等しく(なぜなら、そのためには、イネへの対応・始末でなく、土壌や水や人の出入りを適正厳重に管理する必要があるのに、具体的にディフェンシン耐性菌の伝播、流出に対する対策は何ひとつないから),債権者ら(のみならず人類及び動植物の生態系全体)にそのような重大極まりないリスクを負わせてまで本実験を実施する必要性,有用性は全く疎明されていない。

第3 債務者の交雑防止策について
1 「交雑が発生する理論的可能性がない」という債務者の主張は,農業の現場に日常的に交雑を経験している農業従事者からすれば,余りに非現実的な理論といわざるを得ない上,その他の主張部分も首を傾けざるをえないものが枚挙にいとまがない。

2 たとえば,GMイネの開花予測時期の点である。債務者はみずから答弁書でGMイネの開花予測時期を8月20日から9月3日としていながら、ここにきて、変更の根拠を示さないままいきなり「過去のデーターから8月24日と想定される」と主張を修正してきた。
 思うに、周辺イネの開花時期との間隔を広げるための主張と思われるが,出穂期を8月24日の一日だけに限定すること自体,稲作を知らない証であり,論外の論といわざるをえない。
ちなみに,星川清親(ほしかわきよちか)著の「新編 食用作物」66頁以下には,
「出穂:1株全体の茎が出穂を終わるのに約1週間、圃場全体では約2週間を要する。ふつう、圃場の周縁部の株が最初に出穂する。これを出穂始めといい、圃場全体の50〜60%が出たときを出穂期、そして90%が出穂したときを穂揃期と規定している。」,「開花:一般に出穂直後または出穂途中で開花が始まる。1穂の全花が開花し終わるのには4〜10日、平均7日を要する。」
と記載されている。

3 また,「上越地域の平成17年度の田植えは5月22日で終了しており,周辺農家のイネの出穂時期は最もおそいものでも8月10日とされる」という点(別紙5)も,債権者らが僅か1日の間で調査した限りでも,上越市の農家で6月に入って田植えを終了した農家が散見されており,実態を無視した報告となっている。
  しかも,債務者はみずから答弁書では、「本件近隣農場のイネの予想開花時期は8月1日から15日」とされていたものが,上記のとおり,今回の書面では,何らの根拠を示すことなく,出穂時期は最もおそいものでも8月10日とされる」と変更している。

4 さらに,交雑防止の袋かけについても,債務者はみずから、栽培実験計画書(疎甲8の2頁末尾)、で,「組換え個体に袋掛けをするかまたは組換え栽培区を不織布で覆うなどして」と表明しておきながら,今回、変更の根拠を何も示すことなく,「組換え個体に袋掛けをし、なおかつ組換え栽培区を不織布で覆う」と修正してきたが,しかし、二重にも被覆措置を施してまでやる野外実験にそもそもどのような実験の目的・意味があるのか,誰しも疑問に思うほかない。
 ここから明らかなことは、今の債務者の頭にあることはただひとつ、本来の実験の目的をかなぐり捨ててでも、とにもかくにも野外実験をやったという既成事実を残すことにしかない――それは、取りも直さず、本来の野外実験の事実上の中止にほかならない。

5 このように,債務者の交雑防止措置に関する主張は,あまりに場当たり的で,実効性に疑問が残るものである。債務者において人知を尽くして交雑防止措置を取ったとしても,それでも交雑の可能性を否定できないのであれば,本野外実験が室内実験から野外実験に移行するために本来解決しておかなければならない重要な安全性・問題点について全く対策が示されず、なおかつ本野外実験の有用性・必要性も極めて疑わしい本野外実験は即刻中止すべきである。

第4 まとめ
1 BSE(狂牛病)問題を契機に,平成15年7月,わが国においても,ようやく「食品安全基本法」が制定された。
官と民の癒着と評価される食品不祥事の連続は,業者や食品行政(専門家の意見を後ろ盾にしていた)に対する信頼を失わせた。その結果,同法は,「食品の安全性」を判定する機関として,内閣府に独立した「食品安全員会」を設立し,専門家による科学的な「リスク評価」を実施させることとなった。すなわち,食品の安全性を,政治や経済に左右されることなく,科学的に分析,判断しようとしたわけである。

2 しかし,消費者の,食品行政や生産・開発に偏向する科学者に対する不信は根強く,科学者が主張する「安全」と一般人が考える「安心」には大きな乖離が存在している。消費者は,日常生活における「安心」という精神的人格権を求めているのであり,これが,食品の分野に限らず「安全と安心」の問題として昨今の流行語となっているのである。それにもかかわらず,この乖離から生ずる現代の不安を,科学者側が,「一般人の『主観的不安』や『無理解』に起因する」と決め付けるのであれば,それは,ことの歴史,経緯を無視した無反省な謬見と言わざるをえない。

3 上記食品安全員会の委員である中村靖彦氏は,その著書「牛肉と政治 不安の構図」(文春新書)の後書きで,次のように述べている。
「最近は,科学が政治と行政のなかに加わった。・・・政治の動きは,この科学の前に少しは変わってゆくのだろうか。変わってゆくとすればそれは,科学者が日本のいろいろな立場の人に信頼されているかどうか,にかかっているのだろう。これまで,科学,あるいは科学者が必ずしも信頼を得る行為だけをしてきたわけではないことを拭い去って,社会に貢献する存在になることが求められる。このような存在になって初めて,政治家も行政官も,そして消費者も一目置く科学になるだろう。お互いの緊張関係が,透明性を持って誰にでも分かるように示されれば,消費者不在のやりとりはなくなるはずである」

 4 本野外実験は,消費者や周辺農家不在のものではないのか,欧米の主食たる小麦についてGM開発中止の抗議行動が起きるのと同様,わが国の主食たるコメについて,危険性についての解明が十分になされず,その防護策も不十分で,有益性に乏しい実験に反対運動が起こるのは,自然の道理ではないのか,この実験は,いま,科学及び科学者に問われている理性の本質を理解しないことには解決しないし,その本質を理解しなければ,これまでと同様な過ちを繰り返すだけの結果となる重大な可能性をひめている。

以 上
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債権者準備書面 (5)

平成17年(ヨ)第9号 遺伝子組換え稲の作付け禁止等仮処分事件     
原  告  山 田   稔 ほか11名
被  告  (独) 農業・生物系特定産業技術研究機構

債権者準備書面 (5)

2005年8月1日


 新潟地方裁判所高田支部 民事部 御中

債権者ら訴訟代理人 弁護士  神山 美智子

同       弁護士  柏木 利博

同       弁護士  光前 幸一

同       弁護士  近藤 卓史

同       弁護士  馬場 秀幸

同       弁護士  柳原 敏夫


目  次

第1、裁判の進行について――時期に遅れた攻撃防御方法の却下―― 2頁
第2、事実関係の整理                        3頁
第3、その他の事実関係                       9頁
第4、本野外実験の違法性について――法律関係――          11頁


第1、裁判の進行について――時期に遅れた攻撃防御方法の却下――
 最初に、本裁判の進行について、一言述べておきたい。
 かねてより、債権者は、本裁判は、本野外実験の安全性の有無という真相解明のためには、証拠が債務者の元に完全に偏在しているため、必要な証拠の提示を再三再四、債務者に要請してきた。にもかかわらず、債務者は、債権者が必要と考える問題点解明のための資料(準備書面(2)33〜34頁)を、今までのところ、ひとつも提出していない。
 しかも、本裁判は、事件の性質上、終わりの時期が最初から決まっている。よって、本裁判のほぼ終わり間近である今日まで、債務者から、上記資料が証拠として提出されなかったということは、万が一、この期に及んで、上記資料が債務者から提出されたとしても、それは明らかに、時期に遅れた攻撃防御方法として却下されるべきものである。なぜなら、債権者がかねがね提出を求めてきた資料はいずれも裁判前から存在していたものであり、したがって、時期に遅れたことは明らかであり、なおかつそれは債務者の故意またはこれと同視できる重大な過失によるものであることも明白だからである。
 この点の怠慢について、裁判所は債務者に厳しく処置していただきたい。

第2、事実関係の整理
 ここでは、本野外実験の性格上多岐にわたらざるを得なかった債権者のこれまでの主張を、その重要性の観点から、全体を整理しておきたい。
1、はじめに
 基本的なことであるが重要なことなので、はじめに、再度、確認しておきたい。つまり、債権者が本裁判で求めているのは、GM推進の是非でもなく、またGM作物の野外実験一般の是非でもない。あくまでも、債務者の今回の野外実験の危険性・問題点という具体的、個別的な問題だけを問うている。それゆえ、例えば、定型文書に署名しただけで、GM作物の野外実験一般の推進を要望したにとどまる疎乙38〜103の研究者の要請書といったものは、本裁判と無関係である。

2、本野外実験の問題点
 そこで、事実関係において、債権者がほかならぬ本野外実験を問題だと考える根拠は、大別して次の3つにまとめられる。
第1に、室内実験において本GMイネの安全性・問題点を十分に詰め、解決していない現段階で、野外実験に移行するのは時期尚早であり、その危険性の点から許されないこと。
第2に、その本野外実験の交雑防止やイネ花粉防止などの安全対策の点において見過ごすことのできない不備があり、その危険性の点から許されないこと。
第3に、他方で、こうした問題の多い本野外実験を敢えて推進する積極的な必要性・有用性が認められず、またそれを実証するデータもないこと。
 以下、順次、その要点を拾い上げる。
3、第1の問題点
 第1の問題点とは、債権者が準備書面(2)の9〜19頁にわたって主張した、主に以下の論点である。
(1)、ディフェンシンの作用機構(人体へ害作用がないかなど)が依然、未解明であること(9〜10頁)
 それゆえ、《ディフェンシンについての知見の蓄積を待ち、ディフェンシンの影響を合理的に推察できる程度の実験事実が集まった後に、再度の検討してから野外実験の是非を考えるべきである。》(金川陳述書4頁下から4行目以下。疎甲19)
(2)、「ディフェンシンが食用部分には絶対に移行しない」かどうか、依然、未解明であること(10〜11頁)
 それゆえ、《ひとまず本野外実験は中止し、実験室内で、その作用機構が「不明の点が多く」「まだまだ未知の領域が多い」ディフェンシン蛋白質について、玄米の外側の皮や胚芽部分も含めた食用部分への発現および移行について、知見を蓄積する研究に励むべきである》(10頁末行以下)
(3)、ディフェンシンに対する耐性菌が出現した報告が出たこと(11〜13頁)
 これは、《ディフェンシン耐性を獲得した菌が病原菌ではなくても、この菌が人類にとって致命的な影響を与えるおそれがある。そもそも、人類の皮膚には多数の細菌が付着しており、また、腸内には100兆個以上の細菌が存在すると推定されているのであって、これらの細菌のいくつかは、ディフェンシンによって活動を抑えられているがゆえに、皮膚の表面や腸管上での繁殖が抑えられて、これまでのところ病原菌になりえないのかもしれない。ところが、ディフェンシン耐性を獲得することで繁殖が可能になり、今までは病原性を示さなかった菌が、病原菌に変身する可能性は十分に考えられる。そうなると、人類が未経験の病原菌が出現することになるわけで、抗原抗体反応による防御もすぐには働き得ず、大きな被害を出す可能性がある。》(金川陳述書2頁12行目以下。疎甲19)それゆえ、この人類および植物に対する脅威の可能性の重大性にかんがみ、《本野外実験は即刻中止し、実験室内において、この耐性菌の問題について、知見を蓄積する研究に励むべきである。》(13頁13行目以下)
(4)、土壌微生物に対し、重大な影響があること(13〜15頁)
 これは、《本GMイネが産出するカラシナ由来のディフェンシンも、いもち病菌だけでなく、様々な土壌微生物に対して抗菌効果を発揮することが予想される。‥‥葉緑組織である茎と土壌が接する部分において、微生物数の減少が予想される。また、イネは湛水して栽培される植物であり、ディフェンシンが細胞外へと分泌される物質であることを考えると、水中に浸かっている茎からのディフェンシンや、雨などで葉や茎から落ちたディフェンシンが、水中へ移行して広い範囲にいる微生物に影響を及ぼすことが予想される。》(金川陳述書5頁19行目以下。疎甲19)そして、《本GMイネにおいては、常時、抗菌性たんぱく質を作り続け、これを水中へ撒き散らす》が特性を持つがゆえに、《土壌微生物への影響は、今まで以上に大きいと予想され》、それゆえ、本野外実験は即刻中止し、《実験室内において、詳細な検討が必要である。》(同5頁下から3行目)

4、第2の問題点
 本来であれば、第1に指摘した様々な重大な問題点を詰め、解決をした上で、本野外実験に移行すべきである。ところが、債務者は、これをやらないまま本野外実験にくり出した。しかも、その本野外実験たるや、以下に指摘する通り、交雑防止やイネ花粉防止などの安全対策の点において見過ごすことのできない不備があり、その結果、このままいけば、交雑等によりGM汚染の回復不可能な事態が発生する危険性が極めて大きい。
(1)、交雑の可能性について
 まず、本野外実験における交雑防止とは本来いかなるものでなくてはならないか。
 この点、天明伸浩作成の陳述書(疎甲71)が、GM米のたった1%の交雑(100粒の米のうち1粒が交雑すること)でも、或いはたった1粒の交雑からでも、GM米がいかに爆発的に増殖する可能性があるかを説明したくだり(4〜5頁)からも明らかな通り、いわゆるGM汚染の被害拡大を防止するためには、100%交雑しないこと、つまり文字通り完全に交雑防止するしか方法はない。
 しかし、債務者は、これが不可能なことを既に自認している(疎甲72に収められたTV番組中において、債務者の田中宥司氏は、「交雑が起きることは、まずない」としか答えられなかったからである。その解説である疎甲73の報告書1〜2頁参照)。
 また、債務者の交雑防止の拠り所にする疎乙9の矢頭レポートの結語
《実際に一般圃場において交雑可能な距離は大きく見積もっても26mとするのは科学的に十分合理的である》
も端的に間違っている。なぜなら、既に海外で、イネの交雑可能な距離は43.2mという報告例が出ているからである(疎甲30.655頁。表8左下。2003年、2004年)。しかし、これは別に不思議なことでもなんでもない。なぜなら、前記矢頭氏も認める通り、《イネにおいて風力と花粉飛散距離の関係はこれまでに報告が少ない》(疎甲13の同氏の論文17頁右下から3行目)のであり、その結果、実験データが増えれば増えるほど、最大距離が長い結果がでてくるのは当然のことだからである(2004年、わずか5つの検出例から交雑防止に必要な距離を算出した農水省の栽培実験指針検討会が、翌年、新しい交雑距離の検出結果が出たという理由で、すぐさま20mから26mに延長されたエピソードはそのことを端的に物語る)。したがって、ここから導かれる結論とは、「今あるデータを基に花粉飛散距離を普遍化することは禁物であり、それを守ったからといって、交雑を完全に防止することはできない」ということである(植物育種学と受粉生物学の専門家生井兵治氏の疎甲30。657頁右20行目以下参照)
 さらに、開花時期の点においても、本野外実験場の周辺農家の一般水田の状況を調査した債権者山田稔作成の陳述書(疎甲62)から、もともと一般農家のイネと5日しか開花時期のズレを予定していない(答弁書10頁(4)A)本GMイネが、一般農家のイネと開花時期が重なることを完全に否定することは不可能であることが明らかである。
 また、債務者は、袋がけで交雑防止すると言うが、これで交雑を完全に防止できないことは、疎甲72に収められたTV番組中において、司会が台風の例を挙げてそれが不可能なことを指摘していたくらい明白なことであり、要するに「交雑の完全な防止」からみて、ただの気休めでしかない。
(2)、イネ花粉防止について
 準備書面(2)でも指摘した通り、カルタヘナ法で「人の健康に対する影響を考慮する」ことが要求されているにもかかわらず、本野外実験において、債務者はその対策をひとつも講じていない(18頁)。 
 この点は、先日、新潟県の市長会が本野外実験中止を求める決議を行なった際にも、その理由のひとつとして「導入遺伝子が新たなアレルギー物質にならないのか‥‥県民の不安は高まっている」と指摘され(疎甲69)、大きな社会問題になっている。
 したがって、このまま本野外実験が続行され、花粉が飛散した場合に、人に対する新たなアレルギー物質にならないという保証はなく、この点からも、本野外実験は即刻中止されるべきである。

5、第3の問題点
 他方で、本件においては、こうした問題の山積した本野外実験を敢えて推進する積極的な必要性・有用性も認められず、またそれを実証するデータもない。そのことは、準備書面(2)で、主として次の通り指摘した。
(1)、ディフェンシン遺伝子導入イネがどの程度有用性なのか、その有用性を証明した実験データがないこと。
 つまり、今までのところ、《いもち病菌を制圧するに足りるディフェンシンの必要濃度がはたして本GMイネで実現されているのかどうか、本実験を通して、発現データ(ディフェンシンタンパク質の動態)が殆ど示されておらず、不十分と言うほかない。》(19頁)
(2)、いもち対策として従来の品種改良イネで十分であること(19〜20頁)。
 また、《白葉枯病は、少なくとも新潟県では、《近年、発病事例が極めて少なく》、もはや「確認」することすら困難な病気であ》(準備書面(4)6頁)り、これを強調する前提がもはや存在しない。
(3)、いもち病の被害の程度は《イネ収穫量全体のわずか1.8パーセントにすぎない》(20頁)。また、債務者は、本野外実験の有用性として主張する《本GMイネによりいもち病の被害がどの程度回復することになるのか、或いは農薬がどの程度軽減されることになるのか、債務者はその具体的な数値を全く明らかにしていない。》(21頁)
(4)、債務者は、本GMイネの早急な実用化を、公的な文書で表明している(疎甲2115頁3行目。疎甲81頁1(1)@とA)にもかかわらず、未だ食品安全性の審査を受けておらず、その意味で、カルタヘナ法に抵触するのみならず、実験の手順としてもこのまま多額の研究費と時間を費やすべきではないこと(22〜24頁)。
(5)、もし「「食用部分にはディフェンシンは発現しないもしくは移行しない」としたら、それは、もみいもちタイプのいもち病菌対策としては全く無意味な本野外実験であること(24頁)。

第3、その他の事実関係
1、実験中止により債務者に回復不可能な損失が発生するか否か
 この点、債権者は、既に有機農家の金谷陳述書(疎甲18)で、債務者に回復不可能な損失が発生しないことを具体的に立証した(4〜5頁)。
 今回、大学時代、農学部でイネの研究をした有機農家の天明伸浩の陳述書により、この点をさらに明らかにした(2〜3頁)
 
2、債権者の被る損失は回復容易なものか否か
 この点も、既に金谷陳述書(疎甲18)で、債権者の被る損失は回復容易なものではなく、その反対の回復不可能なものであることを具体的に立証した(5〜6頁)。
今回、上記天明伸浩の陳述書により、この点をさらに明らかにした(3〜6頁)

3、同じ主食の小麦について、GM小麦商品化事件の顛末と教訓
 米と並んで世界の主食である小麦について、昨年5月に、GM小麦の商品化が断念されたという本件にとっても貴重な事件が存在する。
 2002年12月、モンサント社が、米国とカナダにGM小麦の商業栽培の認可を申請したのに対して、米国は認可したが、カナダでは国内に猛反発が起き、カナダの小麦生産者からGM小麦を拒否する広告が打たれ(疎甲66)2004年1月16日、カナダ農務省はモ社との共同開発を断念すると発表した。また、小麦輸入国はいずれも、もしGM小麦の商品化がされれば、買い付け先を変更すると警告し、最大のバイヤーである日本の食糧庁と製粉業界が警告し(疎甲65)、米国の小麦生産者からも強い不安がだされ、ついに2004年5月、モンサント社が世界中でGM小麦プロジェクトを断念すると発表された(疎甲63。7頁(10))。
 これまで飼料用が主な用途だったGM作物と異なり、主食であるGM小麦の商業栽培については、消費者のGM懸念が非常に強いため、売れるはずもなく、さらに、GMではない普通の小麦もGMとの完全な分別流通が不可能なため混入が避けられないことから、GM小麦生産国では普通の小麦についても輸出市場を失うことから、GM小麦のプロジェクトを断念するに至ったものである。
 これまでGM作物が曲りなりにも受け入れられてきたのは、何よりもまず、それが主食以外の作物だったからであり、ことがいったん主食に及べば、生産者、消費者の多くの反対の声があがり、現状では、GM作物の商品化は断念せざるを得ないということである。そうだとしたら、小麦と並ぶ主食である米についても、同様の帰結が相応しい――これがGM小麦事件の教えである。

第4、本野外実験の違法性について――法律関係――
1、GM作物の安全性の評価についての基本原則
 GM作物の安全性の評価についての基本原則とは「予防原則」である。このことは、農水省の外郭団体(社)農林水産先端技術産業振興センター作成のハンドブック「バイテク小事典」にも、次のように明記されている(疎甲70)。
《バイオの分野では、遺伝子組換え食品の安全性に関して、予防原則を基に話し合いが進められている事実。》(111頁)
 また、EUカルタヘナ法においても、その前文の22で、次のように明記されている。
《本規則の適用にあたっては、予防原則が考慮されなければならない》(疎甲75)
 もっとも、もともとカルタヘナ法の元になったカルタヘナ議定書、その第1条で明らかにされた、
「この議定書は、環境及び開発に関するリオ宣言の原則15に規定する予防的な取組方法に従」
うという基本原則からすればこれは当然のことである(申立書13頁。疎甲5)。

2、カルタヘナ法の不備について
 ところで、わが国のカルタヘナ法が生物多様性の保全という基本理念に照らし種々の点で不十分なものであり、具体的に、保全すべき「生物」の範囲を、《栽培植物や飼育動物を除外し、基本的に野生生物だけを対象とした(4条5項参照)》(29頁)ことは、準備書面(2)で主張した通りである。
 今、そのことを明らかにした環境省作成のカルタヘナ法の解説文を書証として提出する(疎甲67)。また、EUでは、同じカルタヘナ議定書に基づいて制定されたカルタヘナ法が、保全すべき「生物」の範囲を文字通り「すべての生物」とし、栽培植物や飼育動物を除外しなかったことを、わが国のカルタヘナ法と対比するために参考文献と条文を書証として提出する(疎甲68。75)。

3、地元住民の同意またはそれと同等の「地元住民の十分な理解」の不存在
 前述した通り、様々な不備を抱える我が国のカルタヘナ法が本件において「地元住民の同意」を要求しないのは、本法の目的が野生生物の多様性を保全することに限定し、栽培植物を除外したためである。もし「生物多様性条約」やEUカルタヘナ法のように、本来の姿=「栽培植物も含めたすべての生物の多様性の」保全を目的とするなら、本件のようなケースでは、当然、農家である「地元住民の同意」が不可欠となる。
 そのような観点から本件を眺めた時、債務者が行なった地元住民の同意またはそれと同等の「地元住民の十分な理解」に関する手続は不十分極まりないことが明らかである。そのことは、既に準備書面(2)31頁で指摘したのみならず、この間、さらに、
(1)、知事が「『関係者の理解が十分に得られているとは思えない』とセンター側の説明不足を批判した」((7月5日新潟日報)、
(2)、新潟県の市長会が本野外実験中止を求める決議を行なった際、センターの対応について、その決議の中で、「説明責任が十分果たされているとはいえない」「十分な説明もない中、遺伝子組み換え稲の屋外田植えが行なわれたことはまことに遺憾」と厳しく批判(7月22日新潟日報。疎甲69)。
と、債務者の説明責任の著しい不履行が次々と指摘され、つい先ごろ、本野外実験を特集した7月31日のTBSの番組でも、債務者の説明責任の放棄を明らかにする近隣農家のインタビューが放送された(疎甲72。同73)。
 したがって、カルタヘナ法本来の理念に照らし、地元住民の同意またはそれと同等の「地元住民の十分な理解」の点は、本野外実験の適法性を基礎づける上で極めて重要なものであるにもかかわらず、以上の諸事実からして、債務者のこの点の不備は際立ったものがあり、ゆえに、この点からしても、本野外実験の違法性は大きいと言わざるを得ない。

4、被保全権利
個人の生命、身体、健康、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、この総体を人格権ということができ、何人も、この人格権を侵害されることなく、また、総体としての人格権のひとつとして、今日、
(1)、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境の中で平穏に日常生活を営む権利及び
(2)、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境の中で安全に安心して食する権利
が極めて重要になってきており、これらが侵害されたときは侵害行為を差し止めることができる(昭和50年11月27日大阪高裁「大阪空港公害訴訟」判決参照)。
 また、何人も職業選択の自由があり、たとえば農業における有機農業に端的に見られる通り、その人格権的な側面として、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境の中で生産(農業)を営む権利があり、これを侵害されたときもまた侵害行為を差し止めることができる。
本件において、前述した通り、本野外実験は様々な危険性、問題点をはらんでおり、このまま続行されれば、現在または将来にわたって、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境が失われる高度の蓋然性が存在する。とりわけ、疎甲58の番組中で、遺伝子汚染にやられた海外の農家が語っていたように、一度、GM汚染にやられてしまった農地は、二度と従来の自然環境の下で農業を行なうことができず、回復不可能な侵害を被る。また、主食である米が「GM汚染にやられてしまったのではないか」という高度の蓋然性は、いとも容易に風評被害を招き、これによっても、農家(の債権者)は回復不可能な経済的損害を被る(そのことは、GM小麦の商業化の事件で経験済みである。疎甲63)。さらには、GM小麦の商業化の事件で世界中の消費者がそうしたパニックに陥ったように、主食である米が「GM汚染にやられてしまったのではないか」という高度の蓋然性により、消費者(の債権者)は、主食を奪われるという強度の不安に襲われ、著しい精神的苦痛を受ける。つまり、本野外実験により、債権者の生命、身体、健康に関する利益のみならず職業選択の自由等にわたって著しい危険にさらされている。
 したがって、本野外実験の実施により、債権者のこうした生命、身体、健康に関する利益および職業選択の自由等が侵害され、回復不可能な侵害及び経済的、精神的損害を蒙らせるおそれがあり、よって、債務者の本野外実験を事前に差し止める必要があることは言うまでもない。
以 上
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債権者準備書面 (5)

平成17年(ヨ)第9号 遺伝子組換え稲の作付け禁止等仮処分事件     
原  告  山 田   稔 ほか11名
被  告  (独) 農業・生物系特定産業技術研究機構

債権者準備書面 (5)

2005年8月1日


 新潟地方裁判所高田支部 民事部 御中

債権者ら訴訟代理人 弁護士  神山 美智子

同       弁護士  柏木 利博

同        弁護士  光前  幸一

同       弁護士  近藤 卓史

同       弁護士  馬場 秀幸

同       弁護士  柳原 敏夫


目  次

第1、裁判の進行について――時期に遅れた攻撃防御方法の却下―― 2頁
第2、事実関係の整理                        3頁
第3、その他の事実関係                       9頁
第4、本野外実験の違法性について――法律関係――          11頁


第1、裁判の進行について――時期に遅れた攻撃防御方法の却下――
 最初に、本裁判の進行について、一言述べておきたい。
 かねてより、債権者は、本裁判は、本野外実験の安全性の有無という真相解明のためには、証拠が債務者の元に完全に偏在しているため、必要な証拠の提示を再三再四、債務者に要請してきた。にもかかわらず、債務者は、債権者が必要と考える問題点解明のための資料(準備書面(2)33〜34頁)を、今までのところ、ひとつも提出していない。
 しかも、本裁判は、事件の性質上、終わりの時期が最初から決まっている。よって、本裁判のほぼ終わり間近である今日まで、債務者から、上記資料が証拠として提出されなかったということは、万が一、この期に及んで、上記資料が債務者から提出されたとしても、それは明らかに、時期に遅れた攻撃防御方法として却下されるべきものである。なぜなら、債権者がかねがね提出を求めてきた資料はいずれも裁判前から存在していたものであり、したがって、時期に遅れたことは明らかであり、なおかつそれは債務者の故意またはこれと同視できる重大な過失によるものであることも明白だからである。
 この点の怠慢について、裁判所は債務者に厳しく処置していただきたい。

第2、事実関係の整理
 ここでは、本野外実験の性格上多岐にわたらざるを得なかった債権者のこれまでの主張を、その重要性の観点から、全体を整理しておきたい。
1、はじめに
 基本的なことであるが重要なことなので、はじめに、再度、確認しておきたい。つまり、債権者が本裁判で求めているのは、GM推進の是非でもなく、またGM作物の野外実験一般の是非でもない。あくまでも、債務者の今回の野外実験の危険性・問題点という具体的、個別的な問題だけを問うている。それゆえ、例えば、定型文書に署名しただけで、GM作物の野外実験一般の推進を要望したにとどまる疎乙38〜103の研究者の要請書といったものは、本裁判と無関係である。

2、本野外実験の問題点
 そこで、事実関係において、債権者がほかならぬ本野外実験を問題だと考える根拠は、大別して次の3つにまとめられる。
第1に、室内実験において本GMイネの安全性・問題点を十分に詰め、解決していない現段階で、野外実験に移行するのは時期尚早であり、その危険性の点から許されないこと。
第2に、その本野外実験の交雑防止やイネ花粉防止などの安全対策の点において見過ごすことのできない不備があり、その危険性の点から許されないこと。
第3に、他方で、こうした問題の多い本野外実験を敢えて推進する積極的な必要性・有用性が認められず、またそれを実証するデータもないこと。
 以下、順次、その要点を拾い上げる。
3、第1の問題点
 第1の問題点とは、債権者が準備書面(2)の9〜19頁にわたって主張した、主に以下の論点である。
(1)、ディフェンシンの作用機構(人体へ害作用がないかなど)が依然、未解明であること(9〜10頁)
 それゆえ、《ディフェンシンについての知見の蓄積を待ち、ディフェンシンの影響を合理的に推察できる程度の実験事実が集まった後に、再度の検討してから野外実験の是非を考えるべきである。》(金川陳述書4頁下から4行目以下。疎甲19)
(2)、「ディフェンシンが食用部分には絶対に移行しない」かどうか、依然、未解明であること(10〜11頁)
 それゆえ、《ひとまず本野外実験は中止し、実験室内で、その作用機構が「不明の点が多く」「まだまだ未知の領域が多い」ディフェンシン蛋白質について、玄米の外側の皮や胚芽部分も含めた食用部分への発現および移行について、知見を蓄積する研究に励むべきである》(10頁末行以下)
(3)、ディフェンシンに対する耐性菌が出現した報告が出たこと(11〜13頁)
 これは、《ディフェンシン耐性を獲得した菌が病原菌ではなくても、この菌が人類にとって致命的な影響を与えるおそれがある。そもそも、人類の皮膚には多数の細菌が付着しており、また、腸内には100兆個以上の細菌が存在すると推定されているのであって、これらの細菌のいくつかは、ディフェンシンによって活動を抑えられているがゆえに、皮膚の表面や腸管上での繁殖が抑えられて、これまでのところ病原菌になりえないのかもしれない。ところが、ディフェンシン耐性を獲得することで繁殖が可能になり、今までは病原性を示さなかった菌が、病原菌に変身する可能性は十分に考えられる。そうなると、人類が未経験の病原菌が出現することになるわけで、抗原抗体反応による防御もすぐには働き得ず、大きな被害を出す可能性がある。》(金川陳述書2頁12行目以下。疎甲19)それゆえ、この人類および植物に対する脅威の可能性の重大性にかんがみ、《本野外実験は即刻中止し、実験室内において、この耐性菌の問題について、知見を蓄積する研究に励むべきである。》(13頁13行目以下)
(4)、土壌微生物に対し、重大な影響があること(13〜15頁)
 これは、《本GMイネが産出するカラシナ由来のディフェンシンも、いもち病菌だけでなく、様々な土壌微生物に対して抗菌効果を発揮することが予想される。‥‥葉緑組織である茎と土壌が接する部分において、微生物数の減少が予想される。また、イネは湛水して栽培される植物であり、ディフェンシンが細胞外へと分泌される物質であることを考えると、水中に浸かっている茎からのディフェンシンや、雨などで葉や茎から落ちたディフェンシンが、水中へ移行して広い範囲にいる微生物に影響を及ぼすことが予想される。》(金川陳述書5頁19行目以下。疎甲19)そして、《本GMイネにおいては、常時、抗菌性たんぱく質を作り続け、これを水中へ撒き散らす》が特性を持つがゆえに、《土壌微生物への影響は、今まで以上に大きいと予想され》、それゆえ、本野外実験は即刻中止し、《実験室内において、詳細な検討が必要である。》(同5頁下から3行目)

4、第2の問題点
 本来であれば、第1に指摘した様々な重大な問題点を詰め、解決をした上で、本野外実験に移行すべきである。ところが、債務者は、これをやらないまま本野外実験にくり出した。しかも、その本野外実験たるや、以下に指摘する通り、交雑防止やイネ花粉防止などの安全対策の点において見過ごすことのできない不備があり、その結果、このままいけば、交雑等によりGM汚染の回復不可能な事態が発生する危険性が極めて大きい。
(1)、交雑の可能性について
 まず、本野外実験における交雑防止とは本来いかなるものでなくてはならないか。
 この点、天明伸浩作成の陳述書(疎甲71)が、GM米のたった1%の交雑(100粒の米のうち1粒が交雑すること)でも、或いはたった1粒の交雑からでも、GM米がいかに爆発的に増殖する可能性があるかを説明したくだり(4〜5頁)からも明らかな通り、いわゆるGM汚染の被害拡大を防止するためには、100%交雑しないこと、つまり文字通り完全に交雑防止するしか方法はない。
 しかし、債務者は、これが不可能なことを既に自認している(疎甲72に収められたTV番組中において、債務者の田中宥司氏は、「交雑が起きることは、まずない」としか答えられなかったからである。その解説である疎甲73の報告書1〜2頁参照)。
 また、債務者の交雑防止の拠り所にする疎乙9の矢頭レポートの結語
《実際に一般圃場において交雑可能な距離は大きく見積もっても26mとするのは科学的に十分合理的である》
も端的に間違っている。なぜなら、既に海外で、イネの交雑可能な距離は43.2mという報告例が出ているからである(疎甲30.655頁。表8左下。2003年、2004年)。しかし、これは別に不思議なことでもなんでもない。なぜなら、前記矢頭氏も認める通り、《イネにおいて風力と花粉飛散距離の関係はこれまでに報告が少ない》(疎甲13の同氏の論文17頁右下から3行目)のであり、その結果、実験データが増えれば増えるほど、最大距離が長い結果がでてくるのは当然のことだからである(2004年、わずか5つの検出例から交雑防止に必要な距離を算出した農水省の栽培実験指針検討会が、翌年、新しい交雑距離の検出結果が出たという理由で、すぐさま20mから26mに延長されたエピソードはそのことを端的に物語る)。したがって、ここから導かれる結論とは、「今あるデータを基に花粉飛散距離を普遍化することは禁物であり、それを守ったからといって、交雑を完全に防止することはできない」ということである(植物育種学と受粉生物学の専門家生井兵治氏の疎甲30。657頁右20行目以下参照)
 さらに、開花時期の点においても、本野外実験場の周辺農家の一般水田の状況を調査した債権者山田稔作成の陳述書(疎甲62)から、もともと一般農家のイネと5日しか開花時期のズレを予定していない(答弁書10頁(4)A)本GMイネが、一般農家のイネと開花時期が重なることを完全に否定することは不可能であることが明らかである。
 また、債務者は、袋がけで交雑防止すると言うが、これで交雑を完全に防止できないことは、疎甲72に収められたTV番組中において、司会が台風の例を挙げてそれが不可能なことを指摘していたくらい明白なことであり、要するに「交雑の完全な防止」からみて、ただの気休めでしかない。
(2)、イネ花粉防止について
 準備書面(2)でも指摘した通り、カルタヘナ法で「人の健康に対する影響を考慮する」ことが要求されているにもかかわらず、本野外実験において、債務者はその対策をひとつも講じていない(18頁)。 
 この点は、先日、新潟県の市長会が本野外実験中止を求める決議を行なった際にも、その理由のひとつとして「導入遺伝子が新たなアレルギー物質にならないのか‥‥県民の不安は高まっている」と指摘され(疎甲69)、大きな社会問題になっている。
 したがって、このまま本野外実験が続行され、花粉が飛散した場合に、人に対する新たなアレルギー物質にならないという保証はなく、この点からも、本野外実験は即刻中止されるべきである。

5、第3の問題点
 他方で、本件においては、こうした問題の山積した本野外実験を敢えて推進する積極的な必要性・有用性も認められず、またそれを実証するデータもない。そのことは、準備書面(2)で、主として次の通り指摘した。
(1)、ディフェンシン遺伝子導入イネがどの程度有用性なのか、その有用性を証明した実験データがないこと。
 つまり、今までのところ、《いもち病菌を制圧するに足りるディフェンシンの必要濃度がはたして本GMイネで実現されているのかどうか、本実験を通して、発現データ(ディフェンシンタンパク質の動態)が殆ど示されておらず、不十分と言うほかない。》(19頁)
(2)、いもち対策として従来の品種改良イネで十分であること(19〜20頁)。
 また、《白葉枯病は、少なくとも新潟県では、《近年、発病事例が極めて少なく》、もはや「確認」することすら困難な病気であ》(準備書面(4)6頁)り、これを強調する前提がもはや存在しない。
(3)、いもち病の被害の程度は《イネ収穫量全体のわずか1.8パーセントにすぎない》(20頁)。また、債務者は、本野外実験の有用性として主張する《本GMイネによりいもち病の被害がどの程度回復することになるのか、或いは農薬がどの程度軽減されることになるのか、債務者はその具体的な数値を全く明らかにしていない。》(21頁)
(4)、債務者は、本GMイネの早急な実用化を、公的な文書で表明している(疎甲2115頁3行目。疎甲81頁1(1)@とA)にもかかわらず、未だ食品安全性の審査を受けておらず、その意味で、カルタヘナ法に抵触するのみならず、実験の手順としてもこのまま多額の研究費と時間を費やすべきではないこと(22〜24頁)。
(5)、もし「「食用部分にはディフェンシンは発現しないもしくは移行しない」としたら、それは、もみいもちタイプのいもち病菌対策としては全く無意味な本野外実験であること(24頁)。

第3、その他の事実関係
1、実験中止により債務者に回復不可能な損失が発生するか否か
 この点、債権者は、既に有機農家の金谷陳述書(疎甲18)で、債務者に回復不可能な損失が発生しないことを具体的に立証した(4〜5頁)。
 今回、大学時代、農学部でイネの研究をした有機農家の天明伸浩の陳述書により、この点をさらに明らかにした(2〜3頁)
 
2、債権者の被る損失は回復容易なものか否か
 この点も、既に金谷陳述書(疎甲18)で、債権者の被る損失は回復容易なものではなく、その反対の回復不可能なものであることを具体的に立証した(5〜6頁)。
今回、上記天明伸浩の陳述書により、この点をさらに明らかにした(3〜6頁)

3、同じ主食の小麦について、GM小麦商品化事件の顛末と教訓
 米と並んで世界の主食である小麦について、昨年5月に、GM小麦の商品化が断念されたという本件にとっても貴重な事件が存在する。
 2002年12月、モンサント社が、米国とカナダにGM小麦の商業栽培の認可を申請したのに対して、米国は認可したが、カナダでは国内に猛反発が起き、カナダの小麦生産者からGM小麦を拒否する広告が打たれ(疎甲66)2004年1月16日、カナダ農務省はモ社との共同開発を断念すると発表した。また、小麦輸入国はいずれも、もしGM小麦の商品化がされれば、買い付け先を変更すると警告し、最大のバイヤーである日本の食糧庁と製粉業界が警告し(疎甲65)、米国の小麦生産者からも強い不安がだされ、ついに2004年5月、モンサント社が世界中でGM小麦プロジェクトを断念すると発表された(疎甲63。7頁(10))。
 これまで飼料用が主な用途だったGM作物と異なり、主食であるGM小麦の商業栽培については、消費者のGM懸念が非常に強いため、売れるはずもなく、さらに、GMではない普通の小麦もGMとの完全な分別流通が不可能なため混入が避けられないことから、GM小麦生産国では普通の小麦についても輸出市場を失うことから、GM小麦のプロジェクトを断念するに至ったものである。
 これまでGM作物が曲りなりにも受け入れられてきたのは、何よりもまず、それが主食以外の作物だったからであり、ことがいったん主食に及べば、生産者、消費者の多くの反対の声があがり、現状では、GM作物の商品化は断念せざるを得ないということである。そうだとしたら、小麦と並ぶ主食である米についても、同様の帰結が相応しい――これがGM小麦事件の教えである。

第4、本野外実験の違法性について――法律関係――
1、GM作物の安全性の評価についての基本原則
 GM作物の安全性の評価についての基本原則とは「予防原則」である。このことは、農水省の外郭団体(社)農林水産先端技術産業振興センター作成のハンドブック「バイテク小事典」にも、次のように明記されている(疎甲70)。
《バイオの分野では、遺伝子組換え食品の安全性に関して、予防原則を基に話し合いが進められている事実。》(111頁)
 また、EUカルタヘナ法においても、その前文の22で、次のように明記されている。
《本規則の適用にあたっては、予防原則が考慮されなければならない》(疎甲75)
 もっとも、もともとカルタヘナ法の元になったカルタヘナ議定書、その第1条で明らかにされた、
「この議定書は、環境及び開発に関するリオ宣言の原則15に規定する予防的な取組方法に従」
うという基本原則からすればこれは当然のことである(申立書13頁。疎甲5)。

2、カルタヘナ法の不備について
 ところで、わが国のカルタヘナ法が生物多様性の保全という基本理念に照らし種々の点で不十分なものであり、具体的に、保全すべき「生物」の範囲を、《栽培植物や飼育動物を除外し、基本的に野生生物だけを対象とした(4条5項参照)》(29頁)ことは、準備書面(2)で主張した通りである。
 今、そのことを明らかにした環境省作成のカルタヘナ法の解説文を書証として提出する(疎甲67)。また、EUでは、同じカルタヘナ議定書に基づいて制定されたカルタヘナ法が、保全すべき「生物」の範囲を文字通り「すべての生物」とし、栽培植物や飼育動物を除外しなかったことを、わが国のカルタヘナ法と対比するために参考文献と条文を書証として提出する(疎甲68。75)。

3、地元住民の同意またはそれと同等の「地元住民の十分な理解」の不存在
 前述した通り、様々な不備を抱える我が国のカルタヘナ法が本件において「地元住民の同意」を要求しないのは、本法の目的が野生生物の多様性を保全することに限定し、栽培植物を除外したためである。もし「生物多様性条約」やEUカルタヘナ法のように、本来の姿=「栽培植物も含めたすべての生物の多様性の」保全を目的とするなら、本件のようなケースでは、当然、農家である「地元住民の同意」が不可欠となる。
 そのような観点から本件を眺めた時、債務者が行なった地元住民の同意またはそれと同等の「地元住民の十分な理解」に関する手続は不十分極まりないことが明らかである。そのことは、既に準備書面(2)31頁で指摘したのみならず、この間、さらに、
(1)、知事が「『関係者の理解が十分に得られているとは思えない』とセンター側の説明不足を批判した」((7月5日新潟日報)、
(2)、新潟県の市長会が本野外実験中止を求める決議を行なった際、センターの対応について、その決議の中で、「説明責任が十分果たされているとはいえない」「十分な説明もない中、遺伝子組み換え稲の屋外田植えが行なわれたことはまことに遺憾」と厳しく批判(7月22日新潟日報。疎甲69)。
と、債務者の説明責任の著しい不履行が次々と指摘され、つい先ごろ、本野外実験を特集した7月31日のTBSの番組でも、債務者の説明責任の放棄を明らかにする近隣農家のインタビューが放送された(疎甲72。同73)。
 したがって、カルタヘナ法本来の理念に照らし、地元住民の同意またはそれと同等の「地元住民の十分な理解」の点は、本野外実験の適法性を基礎づける上で極めて重要なものであるにもかかわらず、以上の諸事実からして、債務者のこの点の不備は際立ったものがあり、ゆえに、この点からしても、本野外実験の違法性は大きいと言わざるを得ない。

4、被保全権利
個人の生命、身体、健康、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、この総体を人格権ということができ、何人も、この人格権を侵害されることなく、また、総体としての人格権のひとつとして、今日、
(1)、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境の中で平穏に日常生活を営む権利及び
(2)、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境の中で安全に安心して食する権利
が極めて重要になってきており、これらが侵害されたときは侵害行為を差し止めることができる(昭和50年11月27日大阪高裁「大阪空港公害訴訟」判決参照)。
 また、何人も職業選択の自由があり、たとえば農業における有機農業に端的に見られる通り、その人格権的な側面として、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境の中で生産(農業)を営む権利があり、これを侵害されたときもまた侵害行為を差し止めることができる。
本件において、前述した通り、本野外実験は様々な危険性、問題点をはらんでおり、このまま続行されれば、現在または将来にわたって、良好な生物多様性が維持された良好な自然環境が失われる高度の蓋然性が存在する。とりわけ、疎甲58の番組中で、遺伝子汚染にやられた海外の農家が語っていたように、一度、GM汚染にやられてしまった農地は、二度と従来の自然環境の下で農業を行なうことができず、回復不可能な侵害を被る。また、主食である米が「GM汚染にやられてしまったのではないか」という高度の蓋然性は、いとも容易に風評被害を招き、これによっても、農家(の債権者)は回復不可能な経済的損害を被る(そのことは、GM小麦の商業化の事件で経験済みである。疎甲63)。さらには、GM小麦の商業化の事件で世界中の消費者がそうしたパニックに陥ったように、主食である米が「GM汚染にやられてしまったのではないか」という高度の蓋然性により、消費者(の債権者)は、主食を奪われるという強度の不安に襲われ、著しい精神的苦痛を受ける。つまり、本野外実験により、債権者の生命、身体、健康に関する利益のみならず職業選択の自由等にわたって著しい危険にさらされている。
 したがって、本野外実験の実施により、債権者のこうした生命、身体、健康に関する利益および職業選択の自由等が侵害され、回復不可能な侵害及び経済的、精神的損害を蒙らせるおそれがあり、よって、債務者の本野外実験を事前に差し止める必要があることは言うまでもない。
以 上
posted by GMNG at 23:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 裁 判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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